空き家を貸すことはできる? まず確認したい3つのこと

糟屋郡で、相続した実家や住まなくなった家を「売るのはまだ迷う。人に貸せないだろうか」と考えたとき、空き家を貸すことは選択肢のひとつです。ただ、貸すと決める前に、次の3つを確認しておくと、その後の話が進めやすくなります。

  • 名義(相続登記):亡くなった方の名義のままでは、誰が貸主になるのかがはっきりしません。兄弟姉妹で相続した場合は、貸すかどうか、家賃や費用をどう分けるかを、家族で話し合っておくことが大切です。
  • 建物の状態:雨漏り、水回り、給湯器、電気設備など、そのまま人が住める状態かどうかを確認します。長く空いていた家は、使い始めてから不具合が見つかることもあります。
  • 家財(残置物):家具や家電、思い出の品が残ったままでは、貸し出せません。片付けの進め方は、「実家の片付け、どこから手をつければいい?」もご参照ください。

貸すときに必要な準備と費用は?

一般的には、次のような準備が必要になります。費用は、建物の状態や広さ、どこまで手を入れるかで大きく変わるため、まずは見積もりを取って、見込める家賃と比べてみることが出発点です。

  1. 修繕・クリーニング:水回りの不具合、壁や床の傷み、ハウスクリーニングなど。どこまで直すかは、家賃の設定とあわせて考えます。
  2. 設備の点検:給湯器・換気扇・住宅用火災警報器などが動くかを確認します。火災警報器の交換の目安は、「住宅用火災警報器、付けてから10年たっていませんか?」で解説しています。
  3. 火災保険の見直し:自分が住む家・空き家・人に貸す家では、使い方が変わります。貸し出す前に、保険会社や代理店に伝えて、契約内容を確認しておきましょう。空き家の保険の考え方は、「空き家の火災保険、通常の契約のままで大丈夫?」もご参照ください。
  4. 入居者の募集と契約:家賃の設定、募集、入居審査、契約書の作成などを、不動産会社に依頼するのが一般的です。
  5. 入居後の管理:家賃の入金確認、設備の故障やご近所からの連絡への対応、退去時の立ち会いなど。遠方に住んでいる場合は、管理会社に任せる方法もあります。

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「普通借家」と「定期借家」、どちらで貸す?

家を貸す契約には、大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つがあります。将来、その家を売りたい・家族が住みたいと考えているかどうかで、選び方が変わります。

  • 普通借家契約:期間が来ても、原則として契約は更新されていきます。貸主から更新を断ったり、解約を申し入れたりするには、借地借家法で「正当の事由」が必要とされており、貸主が使いたいという事情だけでは認められないこともあります。
  • 定期借家契約:期間が満了すると、更新されずに終わる契約です。書面(電磁的記録を含む)で契約すること、契約の前に「更新がなく、期間の満了で終わる」ことを、契約書とは別の書面で説明することが必要とされ、この説明がないと、更新しないという約束が認められません。期間が1年以上の場合は、満了の1年前から6か月前までの間に、終了することを入居者に通知する必要があるとされています。

「数年後には売るかもしれない」という場合は、定期借家契約で貸すことも検討の対象になります。仕組みと注意点は、「定期借家契約とは」で詳しくまとめています。

貸したあとの修繕は、誰がするの?

民法では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています(民法606条1項)。つまり、貸したあとに給湯器やエアコン(貸主の設備として貸したもの)が古くなって壊れた場合、修理するのは原則として貸主です。築年数のたった実家ほど、こうした修理の費用を見込んでおく必要があります。入居者の側から見た修繕の考え方は、「賃貸のお部屋で給湯器やエアコンが壊れたら?」で解説しています。

家賃収入の税金と、「売るときの特例」への影響

家を貸して得た家賃は、税金の上では「不動産所得」になり、家賃から必要経費(修繕費や固定資産税など)を差し引いて計算します。国税庁の案内では、勤め先が1か所で給与がすべて源泉徴収されている会社員の方でも、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要とされています。20万円以下でも、住民税の申告が必要になる場合があるため、お住まいの市町村の税務担当にご確認ください。

もうひとつ、見落としやすいのが相続した空き家を売るときの「3,000万円特別控除」です。この特例には、相続の時から売る時まで、その家を事業・貸付け・居住のために使っていないことという要件があります。いったん人に貸すと、あとで売るときにこの特例は使えなくなるため、特例の対象になりそうな家(1981年5月31日以前に建てられた家など)は、貸す前に要件を確認しておくことが大切です。特例の概要は、「相続した空き家を売るなら今のうち?『3,000万円特別控除』と迫る期限の話」をご参照ください。

空き家は、貸すのと売るのでは、どちらが得?

どちらが得かは、家の状態や立地、ご家族の予定によって変わるため、一概には言えません。次のような点を並べて比べると、考えを整理しやすくなります。

  • 将来の予定:家族が住む・売る可能性があるか。あるなら、いつごろか。
  • お金の見通し:修繕や設備の費用、固定資産税、保険料、管理の費用と、見込める家賃とのバランス。
  • 税金の特例:売る場合に使える特例があるか。その特例の期限はいつまでか。
  • 手間:入居者からの連絡や修理の手配を、自分でできるか、任せるか。

迷うときは、「売ったらいくらか(売却査定)」と「貸したらいくらか(賃料の見込み)」を、両方出してもらってから比べるのがおすすめです。貸す場合の進め方は「貸したい方へ」、入居後の管理は「賃貸管理」のページでご案内しています。

まとめ

糟屋郡で相続した家や空き家を貸すときは、名義・建物の状態・家財の片付けを確認したうえで、修繕とクリーニング、設備の点検、火災保険の見直し、入居者の募集と管理の方法を決めるのが基本の準備です。費用は建物の状態で大きく変わるため、見積もりと家賃の見込みを比べて判断しましょう。将来売る可能性があるなら、定期借家契約や、売るときの税金の特例への影響もあわせて確認しておくと安心です。

oota不動産では、糟屋郡7町の「貸したい」ご相談や、賃貸管理のご相談を承っています。売るか貸すかを決めきれない段階でも、お気軽にお問い合わせください。

※本文は、民法(第606条)、借地借家法(第28条・第38条)、国税庁の案内(給与所得者で確定申告が必要な人、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)などに基づく一般的な内容です。契約の形や税金の扱いは、個別の事情によって異なります。具体的な判断は、税務署・税理士・弁護士などの専門家や、町の窓口にご確認ください。

この記事の監修
太田 秀一郎
株式会社oota不動産 代表取締役/宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

糟屋郡を中心に、不動産の売買・賃貸・管理・相続のご相談をお受けしています(宅地建物取引業 福岡県知事免許(1)第20299号)。詳しくは代表の思い・会社概要をご覧ください。