なぜ「知らない不動産」が出てくるのか
相続登記を進めようとすると、親名義のまま何十年も放置されていた土地や、遠方の山林、共有名義になっている土地などが後から見つかることがあります。これまでは、被相続人がどこにどのような不動産を持っていたかを網羅的に把握する手段が限られており、相続人が把握している範囲だけで手続きを進めた結果、後から別の不動産が見つかるということも起きていました。相続登記の義務化そのものについては「相続登記の義務化、期限は目前?」のコラムもあわせてご参照ください。
「所有不動産記録証明制度」とは
令和8年2月から、法務局で「所有不動産記録証明書」を取得できる制度が始まりました。これは、特定の方(被相続人など)が名義人となっている不動産を、全国の登記所の記録から一覧で確認できる証明書です。相続人であれば、亡くなった方が名義人になっている不動産をこの証明書で確認し、相続登記の対象となる不動産を洗い出す助けにできます。
ただし、この制度で分かるのはあくまで「登記簿上の氏名・住所と一致する記録」です。婚姻や転居で氏名・住所が変わっている場合、変更前の情報での登記が別に存在していると、そちらは一覧に反映されないことがあります。住所・氏名の変更登記については「登記簿の住所、引っ越し先のままになっていませんか?」のコラムもあわせてご確認ください。
証明書を取得する際の流れ
- 最寄りの法務局(または郵送・オンライン)で交付請求を行う
- 請求できるのは、本人のほか、相続人など一定の利害関係人に限られる
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本など、相続人であることを証明する書類の提示が必要
登記申請で実際に集める書類とつまずきやすいポイント
相続登記の申請には、一般的に次のような書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本、住民票
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書付き)
- 対象不動産の固定資産評価証明書
この中でも特に時間がかかりやすいのが、被相続人の戸籍謄本一式です。本籍地を何度も移していた方の場合、複数の市区町村役場から取り寄せる必要があり、郵送でのやり取りだと数週間かかることも珍しくありません。また、被相続人の登記簿上の住所と、最後の住民票の住所が異なっている場合、その住所のつながりを証明する追加書類が必要になることもあります。
自分で進めるか、司法書士に依頼するか
不動産の数が少なく、相続人同士の関係が良好であれば、ご自身で申請することも可能です。一方で、不動産の数が多い、遠方に散らばっている、相続人の一人と連絡が取りにくいといった事情がある場合は、書類収集の手間や見落としのリスクを考えると、司法書士に依頼した方がスムーズなことが多いです。
まとめ
「所有不動産記録証明制度」は、見落としがちな不動産を早い段階で把握するための心強い手段です。とはいえ、登記簿上の氏名・住所とのズレなど制度上の限界もありますので、実際の手続きは戸籍謄本などの書類とあわせて確認しながら進めることが大切です。制度の詳しい利用条件や手続きについては、法務局や司法書士にご確認ください。
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